赤ちゃんが離乳食を食べないとき、どう対応すればいいのか困ることがありますよね。そんな時には、離乳食の意義を理解することが役立ちます。
離乳食とは、母乳やミルクだけでなく、固形食への移行を支援する食事のことを指します。赤ちゃんは成長に伴い、様々なエネルギー源や栄養素が必要となります。母乳やミルクだけでは栄養素を十分に摂取できなくなるため、食事を取り入れて栄養を補う必要があります。離乳食は、固形物に少しずつ慣れさせ、不足している栄養素を補い、食事の楽しさを育てる役割があります。
離乳食を始めるタイミングはいつ?
離乳食を始める目安は、5カ月頃からです。遅くても6カ月頃には始めることをおすすめします。以下のようなサインが見られたら、離乳食を始めるタイミングかもしれません。
首がしっかりと支えられている
他人が食事をする様子をじっと見つめている
自分も食べたそうに口を動かしている
スプーンなどを口に入れたときに、舌で押し出す力が弱まっている
赤ちゃんが離乳食を受け入れないときに考えられる5つの理由と、それぞれの対策をご紹介します。
【理由1】まだ食べることに興味が湧いていない
食べることは人間の本能ですが、まだ母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんが、「食べ物」に興味を持つタイミングは個々によります。
5ヶ月未満でも、親が食事をしているのを見て興味を持つ子もいれば、1歳近くになってもあまり興味を示さない子もいます。
大人になっても、食事が大好きな人もいれば、それほど興味がない人もいます。このような個性や性格は、育った環境だけでなく、生まれつき持っていることも多いです。
また、興味の有無は、個性や性格だけでなく、身体の発達度合いにも影響を受けます。まだ心や身体が、食事の準備ができていない可能性もあります。
【対策1】誘ってみて、食べなければ片付ける
離乳食を何度か試してみて、あまり食べなければ、無理に食べさせることなく、そのまま片付けてしまいましょう。
その際、手間をかけて作ったのに食べてくれないとがっかりするかもしれませんが、冷凍食品やレトルト食品、瓶詰め食品を活用して、負担を軽減することもおすすめです。
作ったものを小分けにして冷凍保存し、食べる分だけ解凍するという方法もあります。
【理由2】内容が発達段階に適していない
同じ月齢でも、歯の生え具合や口の筋肉の発達は、個々に大きな差があります。育児書に書かれている月齢に基づいたレシピを使っていても、赤ちゃんに合っていないこともあります。
特に、これまで食べていたのに急に食べなくなった場合、新しく導入した食材や固さが合っていない可能性があります。
【対策2】その子に合わせた段階のものを提供する
例えば、何らかの事情で出産予定日よりも大幅に早く生まれた低出生体重児の赤ちゃんは、「修正月齢」という、実際の月齢だけでなく、発達の目安となる月齢を示されます。
低出生体重児だけでなく、生まれたタイミングや身体の大きさ、または目に見えない個人差により、発達の度合いが異なるかもしれません。
うまく食べられていないと感じたら、離乳食を始めるのを遅らせてみたり、前の段階に戻してみましょう。
【理由3】味や触感が好みに合わない
味の好き嫌いは、赤ちゃんでも存在します。「これが好きみたい」と思って食べさせていても、突然好みが変わることもあります。
また、触感の好き嫌いも存在します。
ドロドロした食感が苦手で離乳食を拒否し続けていた赤ちゃんが、カミカミ期に入ると急に食べ始めることもあるそうです。
【対策3】食材や調理法を変えてみる
母乳やミルクで栄養が補給できている場合、赤ちゃんに「食べられるもの」を与えるだけでも問題ありません。
可能なら、食材や調理法を変えて、味や食感を変えてみると良いでしょう。
現在では、レトルト食品も多種多様で、様々な食材・味付け・調理法のものが販売されています。それを利用して試してみるのも一つの方法です。
自宅で作ったものよりも、レトルト食品の方が好んで食べることもあります。
【問題4】環境や道具が適していない
離乳食そのものではなく、椅子や食器、スプーンなど、環境や道具が気に入らない場合もあります。
離乳食初期では、椅子に座ることに慣れていないため、座って食べることに抵抗があることもあります。また、大人と同じようにスプーンを使いたい、逆に自分で手づかみで食べたいなど、食べ方にこだわりがあることもあります。
【改善策4】環境を見直す
椅子に座ることに抵抗がある場合は、親の膝の上で食べさせてみましょう。食べることに慣れたら椅子に座れるようになります。
食べ方にこだわりがある場合は、難しそうでも、できるだけ赤ちゃんのやりたいように食べさせてみましょう。
その際、前掛けだけでなく袖まで覆うエプロンをつけたり、ビニールシートを敷いたりすると、汚れることによるストレスが軽減できます。
ただし、食べずに食べ物で遊ぶだけの場合は、片付けてしまっても大丈夫です。
また、大人のフォークや箸を使いたがる場合は、遊びの一環であり、無理に使わせる必要はありません。身体に刺さるなどの事故の可能性があるため、「これは大人のものだよ」とはっきり伝え、渡さない方が良いでしょう。
【問題5】食べたい気分にならない
赤ちゃんは、その時々の気分によって、行動や能力が変わります。
「気分」というと、気まぐれに振り回されているように感じますが、これは「本能」の一種と考えて良いでしょう。
ミルクや母乳で満腹だったり、眠かったり、体調が悪かったり、他に遊びたいものを見つけたり・・・理性がまだ発達していない赤ちゃんは、本能に従って行動します。
【改善策5】楽しく食事する姿を見せる
そのようなとき、親が何度もしつこく食事を勧めたり、怒ったりすると、赤ちゃんが食事そのものを嫌いになってしまう可能性があります。
食事は楽しいもの、というイメージを持たせるために、無理に食べさせるのではなく、家族が楽しく食事をしている姿を見せてあげると良いでしょう。
離乳食に一生懸命になりすぎて、自分の食事を後回しにしがちですが、親が美味しそうに食べている姿を見ると、赤ちゃんも食べたいと思うこともあります。
また、単純に体調が悪い場合は、食欲が落ちます。そんなときは母乳やミルクだけでも良いので、赤ちゃんの負担を軽減してあげましょう。
離乳食の進行の目安
母乳や育児用ミルクなどの液体だけでの栄養補給から、固形物での栄養補給に移行するために、徐々に食事の形態を変えていきます。 赤ちゃんの成長は個人差が大きいので、お子さんのペースに合わせて進めていきましょう。
生後5~6カ月頃(離乳初期)
赤ちゃんが元気なときに離乳食を始めます。
【目安】
● 回数:一日1回
● 硬さ:ゴックンと飲み込めるくらいなめらかにすり潰した状態(ヨーグルト程度)
● 味付け:不要
● 栄養面:離乳食を始めて1カ月が過ぎたら、主食・主菜・副菜を揃える
● 量:スプーン1杯から始め、徐々に量を増やしていく 慣れてきたら、1食の総量で子ども茶碗の1/2程度が目安です
1年から1年半の食事の進化について
1年から1年半のこの期間は、赤ちゃんが食事と生活のリズムを築く大切な時です。赤ちゃんの成長に応じて、必要とする栄養の量も変わってきます。とはいえ、一度に大量に食べることは難しいので、日に一回か二回、軽食(スナック)を挟むことが良いでしょう。
食事の量と時間を定め、食事の間には2時間から3時間の休息を置くことが推奨されています。
離乳食の完遂期間とその食事の進行方法
● 食べ物の硬さ:噛むことが可能な程度(例えば、肉団子など)
● 調味料:天然の食品の風味を生かした、薄い味付け
● 栄養のバランス:主食、主要な料理、副菜のバランスが重要
● 食事量:主食、主要な料理、副菜を、大人の食事量の約半分提供
食事の提供に関する注意点
● 手で食物をつかむ能力を活用しましょう。
● 使い慣れたスプーンやフォークは自分で持てるようにさせましょう。
● 同じ食物だけでは味気ないので、風味、形状、色などのバリエーションを増やすと良いでしょう。
● 1日にはコップで300mlから400mlの牛乳やミルクを供給しましょう。 固形食品を自分で噛んで食べることができ、栄養源の大部分が母乳や育児用ミルク以外から得られるようになったら、離乳食は終了です。約1年半の時点で、幼児食への移行を考え始めましょう。 【食事の進め方のアドバイス】
● 赤ちゃんに膝の上に座らせ、少し後ろに傾ける事で食事がしやすくなります。
● 「美味しかったね」と声をかけることで食事の楽しみを教えましょう。
生後7~8カ月頃(離乳食の中期) 様々な味や食感に親しむ時期です。食品の種類を少しずつ増やしていきましょう。 可能な限り一定の時間に食事を提供することが推奨されます。