果物は体にやさしくて、ビタミンもたっぷり。健康のために毎日食べているという方も多いのではないでしょうか。でも、そんな果物が原因で「食中毒になることもある」と聞くと、ちょっと不安になりますよね。
実は、「果物=安全」というイメージがある一方で、保存や取り扱い方によっては食中毒の原因になることもあるのです。この記事では、果物による食中毒の主な原因や、現れる症状、そして気をつけたいポイントについて、できるだけやさしい言葉でわかりやすくご紹介します。
果物でも食中毒になるの?
まず、「えっ、果物で食中毒?」と驚かれるかもしれません。
確かに、生肉や魚のほうがリスクが高いイメージがありますが、果物も“生もの”の一種。カットしたまま常温に放置していたり、よく洗わずに食べてしまったりすると、細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、食中毒につながることがあります。
特に夏場や湿度の高い時期は注意が必要です。
どんな果物がリスクがあるの?
特に気をつけたいのは、次のような果物です。
1. カットフルーツ(特に市販のもの)
スーパーやコンビニで売られているカットフルーツは便利ですが、製造過程や保存方法によっては菌が繁殖していることも。冷蔵されていない商品には要注意です。
2. メロン・スイカ・パイナップルなどの大玉果物
皮の表面に菌が付着していることがあり、カットする際に中身に移ってしまうことがあります。特にメロンはリステリア菌の事例が海外で報告されています。
3. いちご・ぶどう・ブルーベリーなど、皮ごと食べる果物
農薬や土の菌がついたまま口に入れてしまうと、お腹を壊す原因に。よく洗うことが大切です。
どんな症状が出るの?
果物が原因の食中毒では、以下のような症状がよく見られます。
お腹の痛み
下痢
吐き気や嘔吐
発熱
倦怠感(からだがだるい)
症状は食べてから数時間~数日後に出ることが多く、一見して果物が原因とは気づかないこともあります。
たとえば、朝に食べたカットメロンが原因で、夜になって下痢や嘔吐が始まる…というケースも。高齢者や子ども、妊婦さんは重症化しやすいので、特に注意が必要です。
どんな菌やウイルスが原因になるの?
以下のようなものが代表的です:
■ サルモネラ菌
手指や包丁などから果物に移りやすい菌。特に衛生環境が不十分な場所で調理された果物に注意。
潜伏期間:6〜48時間
主な症状:腹痛、下痢、発熱
■ リステリア菌
冷蔵庫内でも増殖することがある菌。妊婦さんや高齢者は特に重症化のリスクあり。
潜伏期間:1〜7日
主な症状:発熱、嘔吐、頭痛、重症時には敗血症や髄膜炎
■ ノロウイルス
主に手指の衛生状態が悪いときに果物へ付着。冬場に多いが、年中発生する可能性があります。
潜伏期間:1〜2日
主な症状:激しい嘔吐、下痢、発熱
食中毒を防ぐためにできること
少しの工夫で、果物による食中毒は防ぐことができます。以下のポイントを意識しましょう。
✔ 食べる前にしっかり洗う
皮ごと食べる果物はもちろん、カットして食べるものも、食べる前に流水でしっかり洗いましょう。
✔ カットしたらすぐに冷蔵庫へ
カットして時間が経つと、菌が繁殖しやすくなります。常温放置は1時間以内に。冷蔵保存しても2日以内に食べきるのが安全です。
✔ 手をきれいに洗ってから扱う
食中毒の多くは、実は手指の細菌やウイルスから果物に移ることが原因です。調理や食べる前の手洗いは基本です。
こんなときは病院へ
以下のような症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
水のような下痢が止まらない(24時間以上続く)
嘔吐がひどくて水分がとれない
高熱が出ている(38.5度以上)
意識がぼんやりしている(特に高齢者や乳幼児)
「これくらいなら大丈夫かな…」と思っても、少しでも心配なら受診するのが安心です。
まとめ|果物は安全に、美味しく楽しもう
果物による食中毒は、ちょっとした油断から起こってしまうことがあります。でも、正しく扱えば安全に楽しめる食品です。
よく洗う
すぐ冷やす
早く食べる
手を清潔に
この4つを意識するだけでも、リスクはぐっと減らせます。
日々の健康のためにも、果物は積極的にとりたいもの。安全に、美味しくいただくための「ちょっとした心がけ」を、ぜひ今日から始めてみてくださいね。