刺身でよく使われるマグロに、アニサキスという寄生虫は存在するのでしょうか?
マグロの筋肉部分とこの寄生虫の区別方法や、万が一感染した場合の対応策を詳しく解説します。マグロは、大トロや中トロ、赤身など様々な部位があり、それぞれに独特の美味しさがあります。
マグロは高速で泳ぐ魚で、サバやイカと同じように、アニサキスを含む寄生虫が寄生する可能性がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
マグロにおけるアニサキスの有無
アニサキスの幼虫は、魚の餌となるプランクトンや小魚に寄生しており、これらを餌にする魚にも感染する可能性があります。
カツオやサバ、イワシ、サンマ、ヒラメ、サケ、イカなど、多くの魚介類やクジラにもアニサキスが見られることが知られています。
このため、小魚を餌にするマグロにもアニサキスが寄生している可能性が考えられます。
さまざまな種類のマグロが存在し、その多くが自然界で小魚を餌にしています。そのため、これらのマグロに寄生虫のリスクがあるかもしれません。
しかし、マグロの食中毒事例が少ないのは、捕獲後すぐに高速冷凍されるためです。冷凍によりアニサキスは死滅するため、解凍後のマグロは安全に食べることができます。
養殖マグロではアニサキスのリスクが低いとされています。養殖には天然種苗と人工種苗の二つの方法があり、特に人工種苗で育てられたマグロではアニサキスの寄生の可能性はほぼないとされています。
これは、稚魚を人工飼料で育てるため、寄生虫に感染するリスクが非常に低いためです。
生の天然マグロを食べる際のアニサキス対策
生の天然マグロには、アニサキスという寄生虫が含まれるリスクがあります。特に以下のような食べ方でそのリスクが高まります。
アニサキスに注意が必要な生マグロの食べ方:
・刺身
・醤油漬け
・酢漬け
・たたき
・炙り
・カルパッチョ
・にぎり寿司
調味料で寄生虫を死滅させることはできません。アニサキスを予防するためには、以下の方法が効果的です。
・冷凍:マイナス20度以下で24時間以上
・熱処理:60度以上で1分以上
生のマグロは常温や冷蔵状態ではすぐに品質が劣化するため、通常は冷凍されています。しかし、冷凍されていない生のマグロには特に注意が必要です。
マグロの筋とアニサキスの区別方法
アニサキスの幼虫は白く細長く、特に白身魚やイカでは見分けがつきにくいです。
赤身のマグロでは筋との見分けが難しいこともありますが、アニサキスは通常の筋よりも丸まったり渦を巻いた形をしていることが多いので、これを手がかりに識別することが可能です。
目視でアニサキスを取り除くことはできますが、不安な場合は上記の処理方法を試すことをお勧めします。
生鮮マグロのアニサキス対処法
天然の生マグロを食べる際、アニサキスという寄生虫への対処はどうしたらよいのでしょうか?寄生虫の見分け方と対策をご紹介します。
新鮮なうちに早急に内蔵を取り除く
アニサキスはもともとマグロの内蔵に寄生しています。マグロが死後、時間が経つと、アニサキスは肉へ移行します。だから、対策の基本は新鮮なうちに速やかに内蔵を除去することです。
冷凍処理でアニサキスを死滅させる
マグロに寄生したアニサキスは、冷凍することで死滅します。生マグロが心配なら、一度冷凍してから食べる方法があります。
加熱処理
加熱することでアニサキスは死にます。マグロのステーキや兜焼きなど、加熱された料理はアニサキスがいても問題ありません。
アニサキスが気になるなら、ステーキにするのが良いでしょう。
養殖マグロを選ぶ
養殖されたマグロにはアニサキスがいないことがほとんどです。生鮮マグロを買う際は、養殖されたものを選ぶと安心です。
マグロの黒い寄生虫はクドア
マグロに見られる黒い寄生虫はクドアという種類です。
クドアは主にヒラメに寄生し、食べると下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。
日本産のメジマグロやクロマグロにクドアが寄生していることも報告されています。
アニサキスはマイナス40℃以下で24時間以上、クドアはマイナス40℃以下で4時間以上冷凍保管すると死滅します。
マグロを食べた後のアニサキス対策
アニサキスに感染した魚を食べると、アニサキス症という種類の食中毒になるリスクがあります。
このアニサキス症では、胸やお腹に激しい痛みが生じることがあり、吐き気や嘔吐なども伴います。
さらに進行すると、急性の腸アニサキス症となり、下腹部の強い痛みや腹膜炎の症状が現れることがあります。
医療機関でアニサキスを除去
アニサキス症は、アニサキスが胃や腸の壁の粘膜に侵入しようとする際に発生する強い痛みです。
アニサキスによる食中毒の疑いがある場合は、迅速に医療機関を受診し、内視鏡検査を通じて胃の粘膜に侵入したアニサキスの幼虫を除去します。
腸アニサキス症の場合は、症状に合わせた治療が基本ですが、症状が重い場合には外科手術でアニサキスを除去することがあります。
まとめ
マグロは鮮度維持のために通常船上で冷凍され、アニサキスのリスクが比較的低い魚です。
それでも、冷凍されていない生のマグロにはアニサキスが存在する可能性があるため、生で食べる際には養殖されたマグロを選ぶのがおすすめです。