日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性は87.32歳で男女とも毎年過去最高を記録しています。
また、人の手を借りずに日常生活ができる「健康寿命」では、男性71.19歳、女性は74.21歳と厚生労働省は発表しています。
これらの数字からは、平均寿命が延びる一方で、約10年近く介護を必要とする高齢者もまた増えているのだということがわかります。
また高齢者の数と反比例しているかのように、低下を食い止められないのが「出生率」です。
子供が減り、高齢者が増える、年金も危ぶまれる中で日本政府は教育の無償化や年金の受け取りを申請により70歳からでも可能にするなど様々な対策を講じています。
そして政府は平成29年1月に「育児・介護休業法」を改正しました。
「育児・介護休業法」の目的は、2つあります。
一つ目は、「少子化」を食いとめるべく、働く女性が出産、育児に対して前向きになれるよう体制を整えていこうというものです。
二つ目は、介護のための離職率を防止する取り組みです。
高齢化が進むと、当然のことながら働きながら介護をする必要がある労働者も増えます。
そういった労働者のために、介護と仕事の両立がしやすくなるよう、さらに制度が改正されました。
育児 介護 休業 法を わかり やすく解説!これで分かった
この「育児・介護休業法」制度によると、育児に関しては労働者が妊娠した際に企業側はこの制度の概要を労働者に周知することとされています。
でもその周知を待たずして、これから出産を考えている方や、介護の必要がありそうな方はしっかりと仕組みを理解しておくと良いでしょう。
前途したように「少子化」の食い止めと介護のための離職を防止するために作られた「育児・介護休業法」ですが、さらに大きな目的があります。
それは「雇用の安定化」です。
育児や介護を理由に離職を余儀なくされる。
それは企業の生産性の低下へとつながります。
つまり雇用が安定しないということは、労働者と企業、強いては日本の経済において大きなダメージとなりうるのです。
つまり、経済の低下を防ぐべく作られたのが「育児・介護休業法」なのです。
ここでまず「育児休業法」について見ていきましょう。
「産休」「育休」という言葉を聞いたことがあると思います。
「育児・介護休業法」で触れているのは「育休」にあたります。
「産休」と「育休」の大きな違いは、「産休」は義務付けられているものであり、「育休」は労働者本人の申し出によるものだという違いです。
「産休」の場合の産後とは生後8週間を指します。
「育休」はこの「産休」が終わった翌日から1歳を迎える期間に休業を申請できる制度のことを指します。
そして、保育園への預け入れが叶わなかった等理由がある際には最長2歳まで延長できます。
最も気になるのは育休取得時の、給付金をもらえる条件やタイミングですよね。
給付のタイミングは、出産から4ヶ月後、育休取得からおよそ2ヶ月で支給の受け取りが可能です。
支払いは2ヶ月ごとですが、1ヶ月ごとの支給受け取りの申請も可能です。
次に介護休業の取得についてです。
平成29年の制度の改正前は下記のような内容でした。
・介護が必要な家族1人につき、介護休業は93日まで
年間での取得は1回のみ
改正後、次のように変更されています。
・介護が必要な家族1人につき、介護休業は93日まで
年間3回取得可能
改正前は、30日や40日でも1回介護休業を取ると、もうその年は介護休業を取れませんでした。
改正後は、年に3回までなら分割取得ができるようになりました。
また気になる介護休業の給付率ですが、改正前は賃金の40%だったものが、改正後は67%に上がっています。
また介護休業とは別に、介護休暇も取れるのを知っておいてください。
介護休暇とは、介護休業や有給休暇とは別に年間5日間までお休みが取れる制度です。
改正後、半日単位での取得もできるようになっています。
これらの仕組みを利用して、介護と仕事を両立しながら賃金に支障がない形で働くことが可能になっています。
育児 介護 休業 法 罰則!?何?何?
「育児・介護休業法」は原則、労働者が申請をするものです。
よって企業側も、申請がしやすい環境づくりが求められます。
ではこの申請、企業側がもし申請を断るとどうなってしまうのでしょうか。
万が一、育児休業申請を企業が断った際には、法律違反となりますので企業側には罰則があります。
まず申請を拒否した企業には、厚生労働大臣から助言及び勧告がきます。
さらにその勧告に企業が背いた際には、企業名・違反内容の公表という罰則が課せられます。
また報告の必要があると認められた場合、厚生労働大臣から企業へ報告の要請がありますが、その報告要請に応じない、偽りの報告をするといった際には20万円以下の罰金となります。
このような制度により、労働者が育児・介護・仕事を両立できるように環境整備がされています。
育児介護休業法の制度内容と罰則のまとめ
「育児介護休業法」の改正に焦点を当ててみると、時代の変化によって、国の制度も変わってきているのがわかります。
筆者の近所の保育園では、以前は0歳児クラスに待機児童がいるほどでした。
ですが、ここ最近は空きがあります。
それだけ、しっかりと育児休暇を取る人が増えてきた証でしょう。
育児休暇のことは筆者も理解していましたが、介護休業に関しては全く無知でした。
これらの制度の最も重要なことは、誰も平等にその制度を知り、利用することができることです。
より身近にこれらの制度、及び助成金などについて知る機会があることが望まれます。
そして、そういった環境下になくても「知らなかった・・」では後の祭りですので、やはり事前に自らリサーチしておくことが重要です。
そして育児や介護と仕事の両立に悩んだら、誰かに相談することも必要です。
1人で抱え込まずにいろいろな制度や支援、サポートを利用しながら数年後は笑って振り返れるように大変な時期を乗り越えましょう。